【本まとめ:褒める子育てしている方へ】『伸びる子どもは〇〇がすごい』榎本博明

今回は心理学者である榎本博明さんが書かれた『伸びる子どもは〇〇がすごい』をまとめてみました。この本は心の強い子どもに育てるにはどうしたらいいのか、親が実践できるコツやポイントが書かれています。最近は会社で上司に叱られるとキレたり、すぐ辞めてしまったりと、我慢できない頑張れない若者が増えているそうです。どうしたら逆境に強い子に育つのでしょうか。1~5章に渡って書かれているので、ポイントをまとめたいと思います。

まず1章では、今の子どもたちに足りないものとして、我慢する力、失敗する環境、立ち直る力、自己コントロール力の4つが挙げられています。この4つを順番に見ていきましょう。

  1. 我慢する力
    今の若者は叱られた経験が少なく、実際に叱られると冷静に対応する余裕がなくなり、感情的にキレてしまうそうです。1900年代に広まった「褒めて育てる・叱らない教育」が影響していると考えられています。
  2. 失敗する環境
    最近は、大人が先回りして子どもが傷つかないような環境を作ってしまっていることが多く、子どもが失敗する経験が乏しいそうです。失敗して試行錯誤する機会が少ないと、自発性が奪われてしまいます。いざ失敗すると大きな心の痛手を負ってしまうため、子どものうちにたくさん失敗する経験が重要と書かれています。また、共働きで時間がない親は、じっと見守る余裕が無くなってしまっているのも原因の一つだと考えられています。
  3. 立ち直る力(レジリエンス)
    今の若者はレジリエンスが低く、一度心が折れてしまうと立ち直れない人が増えているそうです。レジリエンスとは、心の復元力のことで、嫌なことや大変なことがあって一時的に落ち込んでも、すぐに立ち直る力のことです。レジリエンスを高めるような子育てや教育に移行させていくべきだと書かれています。
  4. 自己コントロール力
    我慢する力や立ち直る力も含まれる、自己コントロール力がないと、叱られた時にキレたり、落ち込んでも立ち直れない人になってしまいます。子どものうちに非認知能力を発達させて、自己コントロール力を身につけることが重要だそうです。
Marina

大人が何でも先回りしてしまう状況を「忙しい親たちがコスパを求めている」と説明されていて印象的でした。

最近、浸透しつつある「褒めて育てる・叱らない教育」は自己肯定感が高まると言われていますが、実際は低下していると研究で分かってきているそうです。「褒めて育てた方がいいって聞くけど…」「なるべく叱らない方がいいって読んだけど…」と思っていたパパママには、驚きの事実かもしれません。ただ褒めるだけじゃなく、自己コントロール力を身につける育て方をした方がいいんですね。

学力が高い子の傾向は?

次に2章では、早期教育や学力の高い子どもについて取り挙げられています。端的に言うと早期教育にはメリットがあまりなく、はやくから知識を与えて覚えさせるよりも、自発的な学習意欲を大事にした方がいいそうです。

さらに、気になる英語教育についても述べられています。今は小さいうちから英会話教室に通わせる人が多いですが、英語は道具でしかないこと。母語がしっかりしていないと、ものごとを考えられない頭になること。早期の英語教育はビジネスのマーケティング戦略にすぎないこと、などが挙げられています。

心理学の面で、父親とよく遊ぶ子は、心理発達の度合いが高いという研究結果がでているそうです。父親とよく遊ぶ傾向がある子は情緒性、社会性、自発性が高く、父親はしてはいけないことを教えたり、子供のいいなりになりにくいため、子どもの発達に良い影響を与えます。

学力の面では、親が子どもと一緒に美術館や博物館、科学館や図書館などの文化施設に出かける家庭は、子どもの学力が高いというデータがあるそうです。知的好奇心が刺激され学習意欲に繋がると考えられています。また家庭の蔵書数が多いほど、子どもの学力が高いことも分かっています。

そして何より実体験が大切だと述べられています。遊びを通して集中力や自発性を高めることが出来ます。また、色々な体験をしながら言葉の意味や概念を結びつけることによって、物事の理解を深めることが重要だそうです。子どもが小さいうちは早期教育にお金を使うよりも、父親と遊んだり、休みの日は科学館や図書館などに出かけたりと、家族で過ごす時間が子どもの学力向上に繋がるのかもしれませんね。

Marina

どこにお金をかけるべきか考えさせられますね。

逆境に強い子の育て方

3章と4章ではどうしたら逆境に強い子に育つかのか説明されていて、非認知能力について取り上げられています。小学校に入る前の幼児期に、非認知能力の基礎を作っておくことが重要だそうです。非認知能力は点数で数値化できる能力ではなく、内面的な能力のことで、粘り強さや頑張る力、協調性などを示します。

そこで非認知能力の中でも、鍵になるのはEQです。EQは、IQの対比でもあり自分の心や他人の心の状態を理解し、それに対応する能力だそうです。IQは遺伝的要素が強く、いくら高くても人生成功するとは限りません。しかし、EQは生後のしつけや教育で十分高めることができると考えられています。EQが高いと社会適応がよく、幸福度が高いという研究結果もでています。

では、どうやって非認知能力の基礎を築けばよいのでしょうか?非認知能力やEQは日常の情緒的安定が重要で、親との何気ない対話によって高まるそうです。そこで、子どもとの接し方のポイントが挙げられています。

子どもとの接し方のポイント

  1. 褒める時は、頑張りや努力を褒める。そうすると、チャレンジしやすくなる。
  2. 親が先回りしない。自発性を高めるには、失敗し子どもが考えて取り組む環境を作ってあげる。
  3. 日常的に会話の中で相手の気持ちを想像させるように導く。友達の立場や気持ちに想像力を働かすような会話をすると共感性が高まる。

最近は子どもにあまり負荷をかけない傾向がありますが、適度な負荷をかけることで、逆境でも頑張れる子になります。また、多少の負荷がかかることで、子どもの自己効力感を育てることができるそうです。そして、日頃から親自身も意識して非認知能力を高める努力をしないといけません。子どもは親をよく見ているため、人の気持ちに寄り添ってるか、粘り強く取り組んでいるか、口癖が悲観的じゃないか、と自分を振り返るのも重要だと書かれています。

Marina

まさに「育児は育自」だなと改めて思いました!

子どものうちに良い習慣を身につけよう!

最後の5章には、子ども時代に習慣形成することの重要性叱る時のコツが書かれています。褒めて育てることが習慣化してしまうと、ネガティブな気分に堪える力が身につかず、逆境に弱い人になってしまうそうです。そこで、子どものうちから叱られたり、注意されても、冷静に考え自己コントロールする習慣を身につけておくことが必要です。

親は子どもを「傷つけない」ように接するのではなく、時には厳しくし「傷つきにくい心を鍛える」子育てをすべきと書かれています。昔に比べて、今は個人の自由が尊重されるようになりました。「こうあるべき」という社会規範が曖昧になってきているため、叱るのが難しくなってきているのも事実だそうです。そこで、叱るときのポイントが挙げられているので、3つ紹介します。

叱るとき3つのポイント

  1. 親の気迫が必要(表情を引き締めて、厳しい雰囲気)
  2. わがままや規則違反は通用しないことを毅然として示す。
  3. 叱るという行為の背後にある「子どものため」という親の思いが大事。

子ども時代に叱られたことを、大人になって思い出すことってありますよね。子どものとき叱られても、冷静に聞き入れたり、気持ちを切り替えたりと、基本的な習慣を身につけておくことよって、大人になったとき応用が効くようになるそうです。「子どものため」と思って、時には厳しくすることも重要なのかもしれません。

まとめ

いかがでしたか?今回は『伸びる子は〇〇がすごい』をまとめてみました。最近は「あまり叱らない方が良い」「とにかく褒めて育てる」といった子育て方法が定着しつつありますよね。それに対して、この本は「褒めるだけでは弱い子に育つよ」と問題提起しています。

各章のまとめ

  1. 最近は自己コントロール力が乏しく、我慢できなかったり立ち直れなかったりする子どもが多い。
  2. 早期教育はあまりメリットがなく、実体験をさせてあげた方がよい。
  3. 非認知能力は幼児期の親子の会話によって高めることができる。
  4. 適度な負荷をかけることで自己効力感を育てる。
  5. 叱るにもコツがあり、子どもの頃の習慣形成が重要である。

最終的には、子どもの力を信じて見守るしかないそうです。親が子どもに出来ることは少しかもしれません。しかし、日常的な会話や声がけが子どもの人間形成に繋がっていることを、大人は自覚して子どもと接することが大事ですね。

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